海外旅行のeSIMにVPNは必要か？データローミングで中国の金盾は対策できる？

昨今の海外旅行においてトレンドのeSIMサービス。

eSIMは、空港に降り立った瞬間にスマホのデータローミングをオンにすれば利用できるため、海外旅行を効率的な旅にしたいバックパッカーや、海外出張で時間のないビジネスマンを中心に人気が高まりました。

そして、eSIMを使うときに度々話題になるのが「VPNって必要なの？」という疑問です。

この記事では、eSIMの仕組みとメリット・デメリットを解説した上で、VPNとeSIMの違い、eSIM利用時にVPNが必要になる理由を解説します。

ぜひ、eSIM利用時にVPNが必要なのか判断に悩んでいる方は参考にしてください！

ライター紹介

Kouto（こうと）

VPNストリーム 管理人

• 元モバイル販売店マネージャー
• スマホ、光回線...通信系の営業8年
• 海外16ヵ国を旅したバックパッカー
• 渡航中の経験からVPNに精通

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eSIMとはスマホ内蔵型のデジタルSIM

この章では、海外旅行で人気のeSIMの特徴と仕組み、メリット・デメリットをかんたんに解説します。すでにeSIMがご存じの方は次の章からご覧ください。

SIMカードとは違うeSIMの仕組み

eSIMは従来のSIMカードと違い、スマホにインストールする内蔵型のSIMです。

従来のSIMカードは「nano」や「micro」など小型サイズのICチップをスマホに挿しこんで利用していました。

しかし、eSIMはQRコードやアプリを使って直接スマホにインストール（アクティベート）して、スマホのモバイルデータ通信を利用可能にします。

eSIMのメリット

SIMカードの差込不要で、スマホ内部にインストールして使うeSIMには様々なメリットがあります。

下記はeSIMのメリットの主な代表例です。

上記のようにeSIMを使うと、迅速かつ、効率的に海外旅行でのスマホのインターネット通信を利用できます。

eSIMは、SIMカード交換の手間やWi-Fiルーターの電池切れを気にせずにインターネットが使えるため、海外旅行のスマホ通信で急速に人気となりました。

eSIMのデメリット

一方、eSIMにはいくつかのデメリットも存在します。

便利な反面、スマホに詳しくない方が初めてeSIMを利用すると使い方に苦戦する場合もあるでしょう。

eSIMは、SIMカードの交換という作業ではなく、eSIM自体をスマホにインストールして利用します。

そのため、すべてのスマホでeSIMが利用できるわけではありません。お手持ちの機種が、eSIMを利用できるか購入前に確認しておきましょう。

また、eSIMは誤って削除すると通信不可です。eSIM事業者が再発行に対応していない可能性もあるので、ある程度慎重に利用する必要があります。

VPNとはeSIMを含むネットワークのセキュリティを強化するサービス

さて、eSIMの特徴が分かったところで、eSIMとVPNの関連性について解説します。

海外旅行ではeSIMとVPNを組み合わせて使うことが推奨されますが、VPNとはどんな役割を果たすのか、まずは見ていきましょう。

VPNはネットワークのセキュリティを強化するサービス

(画像引用:NTT東日本公式)

VPNとは、バーチャルプライベートネットワーク（仮想専用通信）の略で、インターネットのアクセス履歴を暗号化して保護できるサービス。

日本含めて世界では、インターネットの通信履歴（アクセスログ）を盗み見て、個人情報の悪用や流出を企てる悪者がいます。

特に誰でも使える空港や駅、ホテルのフリーWi-Fiは、誰でも他人のアクセスログを盗聴することが可能です。

VPNは、フリーWi-FiでもeSIMのモバイルデータ通信でも専用サーバーを使って通信を暗号化し、外部からの盗み見をシャットアウトします。

VPNはインターネットの個人情報の保護を目的に、セキュリティを強化するために利用されることが多いです。

インターネット規制の強い国でもVPNは役に立つ

VPNは、中国やロシア、北朝鮮など政府の情報統制の為にインターネット規制が強い国でも役に立ちます。

例えば、中国では金盾（政府主導のファイヤーウォール）で現地のSIMカードやWi-FiではGoogleやYahoo！などが閲覧できないことが多いです。

ただし、VPNを使って他国のVPNサーバーを経由すると、IPアドレスが中国からVPNサーバーの国に変わるため、金盾を突破できるようになります。

しかし、ロシアや北朝鮮など、そもそもVPNを法律で禁止している国もあるので、これらの国でのVPN利用には大きな注意が必要です。

eSIM利用時にVPNは必要か？

この記事の本題ですが、海外旅行のeSIM利用時にはVPNが必要なのでしょうか。答えは「イエス」です。

実際に海外旅行でeSIMを利用するときのVPNの活用方法について考えてみましょう。

中国の金盾対策はVPNが必須なのか

中国では金盾（政府のネットワーク規制）で、日本で閲覧できるGoogle、Yahoo！やインスタグラムなどは閲覧できません。

VPNは他国のVPNサーバーを使って金盾を回避できますが、中国当局のVPNへの取り締まりも厳しく、中国で自由に使えるVPNは限られます。

しかし、データローミング機能を使うeSIMを利用すれば、VPNなしで中国でもGooleやYahoo！の閲覧が利用できる可能性が高いです。

データローミングとは、現地ネットワークを利用し、最終的にはAPNを提供する国の通信事業者を経由してインターネットに接続する仕組みです。

そのため、中国のIPアドレスではなく、APN拠点がある他国のIPアドレスでインターネットに接続できるため、金盾を突破できるようになります。

海外旅行向けのeSIMの多くはデータローミングを使うため、eSIMを提供する事業者に中国では金盾対策にVPNが必要かどうか購入時に確認するとよいでしょう。

フリーWi-Fi利用時はVPNが必要

海外旅行でのフリーWi-Fi利用にはVPNが必須といわれます。

eSIMは暗号化された通信技術で安全にインターネット接続ができますが、Wi-Fiの設定をオンにして、知らないうちにフリーWi-Fiに接続されているケースには気をつけましょう。

フリーWi-Fiは多くの人が利用し、悪質なハッカーが利用者の個人情報を盗み見て、クレジットカード情報の悪用やSNSアカウントの乗っ取りなどを働くケースが報告されています。

ホテルのWi-Fiが安全だと思っても、パスワードが未設定のWi-Fiは空港の公衆Wi-Fiと一緒で、宿泊者以外も自由に使えてしまいます。

eSIMのモバイルデータ通信を抑えるために、ホテルでは提供される無料Wi-Fiを利用する方が多いはずです。

ホテルのWi-Fiを利用してオンラインショッピングやSNSアカウントのログインなどを行う場合は、VPNを使うのが安全でしょう。

eSIMのデータローミングはジオブロックにかかる可能性がある

eSIMのデータローミングを使うと、APN拠点がある国を経由するため、ジオブロックにかかる場合があります。

例えば、他国のAPNを使用する日本向けのeSIMは、日本国内限定で提供されるQR決済サービス『PayPay』が利用できません。

データローミングを使うeSIMは、KDDIやソフトバンクの通信事業者を利用しても、最終的には日本以外のAPN拠点がある国のIPアドレスになるため、ジオブロックにかかってしまうのです。

データローミング起因のジオブロックを回避するために、VPNで日本のサーバーを利用すればIPアドレスが日本となり、日本向けに提供されるウェブサービスを利用できます。

ただし、データローミングを使うeSIMはVPNと互換性がない場合が多く、eSIMによってはVPNが利用できないケースも存在します。

まとめ

この記事では、eSIM利用時にVPNが活用できる事例を紹介しました。

海外旅行では、eSIMとVPNを使って安全で快適にインターネット接続を利用しましょう！